ようやくの晴れ間

花粉のせいか、それともお空の意地悪か…空が中々晴れ渡らない日が続いた。星見ができない日は、Pixinsightで過去画像をいじってトレーニングする日々。それも2週間以上立つと、お空の意地悪にちょっと腹立たしさを感じるようになる。そろそろ晴れ成分がほしいぞ!

と悶々とした日々を送っていた矢先、2月28日ようやく晴れ間到来!やっとお空を撮影できる。中々スッキリした晴れが少ない春、できるだけ長い時間露光したいということで、本日も二台並列。さぁて忙しくなるぞ

使用鏡筒

SD81S/AM5/ASI294MCPro/DTD

FRA400(+RD)/AM5/ASI2600MCpro/QBP

AM5による二台体制


Sh2-276 バーナードループ

[ Taget: Sh2-276 <バーナードループ> ]

Telescope: FRA400+RD(x0.7)

Camera: ASI2600MCpro

Filter: QBP

Mount: AM5

Guide: SV165+ASI120MMmini+IR/UVcut

Setting: Gain100Temp-10Exp<300s x34fits>

TotalExpose: 170min

ImageCapture: ASI AIR plus

Date: 2024/02/28 From Balcony

Software: Bias60fl/Dark30fl/Flat30fl

 

[Edit History]

240229 PI(Drz):DBE/SPCCwithPS/BXT/NXT/SCNR/Stretch(HT>Mask>Mask>GHS>Arc>CT)/

 


FRA400は、Reducerをつけて焦点距離280mmのAPCカメラにてバーナードループを撮影。オリオン座を取り巻く淡く巨大な散光星雲で、馬頭星雲やM42、それらの周辺部とともに形成されいている大きな分子雲の一部である。まるで天球を流れる霧の川の如く、複雑にうねるその様はまさにオリオンを守る龍神だ。周辺には暗黒星雲は反射星雲も見られ、オリオン大星雲周辺とともに天文界隈では大変人気の撮影対象である。

範囲が広いため焦点距離を短くし、細かな分子雲を捉えるべく1枚300secで露光を実施。のぞみ以上の画像が得られたのは、本当に嬉しくて心躍った。

それにしても、Reducer付きFRA400は星像が見事だ。星雲の中の微光星までしっかりと捉えられていて、空間分解性能の高さを実感できる。Askarの鏡筒を気にって使用しているのはこの点だ。持ち運びも便利で、遠征(銀河を見る会等)には必ず持参する。唯一の難点は、鏡筒のフードが固定できない点だ。鏡筒を天頂に向けてフラットを取ろうとしても、フラット板の重みでフードが動いてしまう。地面に水平に設置してフラットを撮影しなければならないのは、中々に面倒くさい。なんとかフードが動かないよう固定するすべを考えてみたい。

NGC2343 かもめ星雲

[ Taget: NGC2177 <かもめ星雲> ]

Telescope: SD81SⅡ+FL+RD(x0.79)

Camera: ASI294MCpro

Filter: DTD

Mount: AM5

Guide: ZWO30mmF4+ASI120MMmini+IR/UVcut

Setting: Gain100Temp-10Exp<300s x11fits>

TotalExpose: 55min

ImageCapture: ASI AIR plus

Date: 2024/02/28 From Balcony

Software: Bias60fl/Dark30fl/Flat30fl

 

[Edit History]

 

240229 PI(Int):DBE/SPCCwithPS/BXT/NXT/Stretch(HT>Mask>GHS>Arc>CT)


もう一台の鏡筒SD115Sには、マルチユースフィルターと言われるiDASのDTDを使用した。これは、「夕暮れから夜明けまで」いろいろな天体を撮影できるとショップで謳われている次世代光害カットフィルターとのこと。その特性は、HαやSⅡ、OⅢ周囲を選択的に通し光害をカットしつつ、光害の影響が少ない近赤外領域の連続光を捉えるというもの。比較的広い周波数領域を捉えるため、色合いがカラフルになる一方で、どうしても明るい恒星のハロ(反射ハロ)が強くなりやすい。フィルターの特性上、ハロが強くなるのは仕方がないが、私はそのあたりあまり気にしない。そのかわりに得られる多彩な色調、ナローバンドに比べても色鮮やかな天体画像を得られるメリットは大きい。近赤外まで含めて星雲の華やかさを捉えたい場合に最適なフィルターだ。

 

実際のかもめ星雲の撮影では、明るい星にハロやゴーストが出ているし、QBPを装着したFRA400のバーナードループと比較して、全体的に星が肥大している(もちろん、焦点距離の違いはあるが…)。これでも、フォーカスはかなり追い込んで撮影しているが、1Fits300secの露光であることも相まって、星雲と比べて星が目立つ印象がある。PixinsightのNon-Linear処理で星像を小さくする処理を行っても良かったが、最近の傾向でStretch処理までにまでとどめることにした。星のカラフルさが、かもめを引き立てている…プラス思考で見ればそんな評価もできるんじゃないかな。

撮影後記

実は、かもめ星雲についてはDTDでの撮影の後、L-eXtremeでの撮影も行い、フィルター感での写りの比較と場合によっては合成処理も考えていた。しかし残念ながら、L-eXtremeに変えてしばらくしてかもめがバルコニーのフェンスに隠れてしまい、ほとんど撮影できなかった。そのため、DTDのみの処理・公開とした。

南天の天体は、港明かりの中で条件のいい撮影ができる時間が限られる。もっと長時間撮影するのであれば、やはり南側が暗い場所に遠征することだな。

 

まぁ、撮影のし易いし辛いという天体の性格を見据えて、撮影計画を綿密に立てるのも、天文観測の大事な一過程。そのプランニングを含めて天体観測であるわけで、ただ撮影の経験値が上がるだけでは、天文家を安易に名乗ることは決してできないと思っている。準備から撤収まで、すべて含めての天体観測なんだよね、まだまだ経験値を上げる余地は山のように残っている…