初めての大型彗星撮影

2023年1月~2月に発見された彗星、紫金山アトラス彗星。コードは

 C/2023 A3

この彗星が9月下旬に近日点を通過し、その前後で観測が可能となる情報が天文界隈で駆け巡り、SNS上では数多くの彗星撮影投稿で溢れかえった。ヘール・ボップ彗星や百武彗星以来の大きな彗星の到来に胸踊る天文民。そんな投稿を見ながら、自分にも撮影できるチャンスが有るかなぁ…と動向を見守っていた

そんな、10月14日スポーツの日、どうも日没後の西の空に肉眼でも彗星がみえる!との情報を目にして、俄然気合が入った

 これは、撮影に行くしかない!

 

しかし…、どこで撮影しようか。天文アプリで確認すると、18時前後に西の空の低空に出現するようだ。少し高台で、撮影がしやすい場所は…と思い当たったのが、いつもラントレに行く遊歩道の入口。あずま屋とトイレが有り、その周囲に平地(駐車場)が存在する。そこにカメラを立てて撮影すればどうだろう…。突撃前に、地図アプリや天文アプリで色々シュミレート。撮影機材もおおよそ決めて、いざ現地へ出発!

撮影場所は、うちの街から少し東に行った高台。西の空がしっかりと視界に入る。現地についたのは、17時30分ごろ。すでに、そこには一名同じ彗星を狙ってカメラと小さな天体望遠鏡を設置している天文民がいらっしゃった。

声を掛ける…

 彗星ですか?

色々話すと、ヘール・ボップ彗星や百武彗星も撮影したことがあるとのこと。普段も、小さな望遠鏡で星を撮影しているらしい。おぉ!同じ趣味の仲間が近くにいたなんて(といっても、どこにお住まいかは聞いてないが…)

早速、隣にカメラ二台を設置する

CanonEOS R6/EF70mmF2

CanonEOS Rp/RF14-35 mmF4


そして、日もだいぶくれた18時頃…。まだ彗星がどこにいるかわからない。とりあえず、見えるはずの位置にカメラを向けピントを合わせ、露出時間を2~8秒程度にセットし撮影を開始した。Rp/RF14-35の方はインターバルシャッター、R6/EF70の方はスマホに接続し画面を見ながらリモートで撮影を開始した。

実は、EOSで撮影を始める前に、スマホのナイトモードで撮影を試みていた。現地で画面を見ても、全然写っているようには見えなかったが…帰宅後よく見たら、スマホでもしっかり写っていた。もう少しきれいに撮影できればよかったが…

 

スマホでもはっきり撮れる彗星

 

感動の一瞬!


C/2023 A3 紫金山アトラス彗星


初めての彗星撮影、しかもこんなに美しく!

いやぁ、初めて肉眼で見たときは興奮したよ。太陽光を浴びた美しい尾が、夕暮れ空に淡く広がる様は、まさにほうき星の名のごとく!

また、この写真が普通のコンデジで簡単に撮影できたことにも驚きだ。それだけ、この彗星が素晴らしく明るくなったとのこと。この彗星の周期は8万年とも言われているため、次に同じ彗星が地球で見られるのは8万年後。いや、もしかしたら非周期彗星となった太陽系外に飛び出し、未来永劫地球には戻ってこないかもしれない。そう思うと、まさに

 奇跡の重なった刹那の天文ショー

に出会えたことに心から感謝するばかりであった。

 

この彗星の軌道がもっと違っていたら、近日点通過のときに燃え尽きてしまっていたら、当日が曇りで空が見えなかったら…その姿を決して見ることは出来なかったであろう遥か遠い太陽系の片隅からの来訪者。近い将来、こんな機会に再び巡り会えるのを楽しみにしたい。

撮影後記

翌10月15日も、業務のあとバルコニーから彗星を撮影することが出来た。薄雲が張っていたこともあり、前日よりは見づらくなっていたが、それでも空を貫く見事な尾を撮影することができた。

これ以降は、肉眼やデジカメで撮影することを難しくなる。近日点から遠ざかり、徐々に地球から離れていくからだ。今後は、天体望遠鏡を使った撮影が主となるだろう。晴れれば、完全に見えなくなる前に天体望遠鏡でしっかり度撮影しておきたいところだ。