この日も思わぬ晴天に恵まれた。時刻は午後9時過ぎ、すでに撮影に費やせる時間は限られてきていた。そんな中でも、撮影しようとスタートを切れたのは、準備にかかる時間が大幅に削減できたためだ。毎回撮影後の撤収で、部屋がごちゃごちゃになり、袋はどこだ蓋がない…状態で右往左往する。これをどうしたら回避できるか、そう思ってスムーズな撤収を念頭に置いた準備をするようにしてから、設置にかかる時間を約半分にすることができたのだ。これは、時間が限られる夜間の撮影を堪能するために得られた最適解。経験は、己を成長させてくれるのだよ
本日は、目標を網状星雲西側に定めた。その絹のような繊細な光の構造物は、あまりにも美しく目を奪われる。
これを如何に美しく、より明瞭に撮影するか。その目的のために選ぶべき鏡筒は一つ(SD115がリペア中のため)。ZWO FF107APO、先日三日月星雲でその性能を実感させられた鏡筒だ。今日はこの一本にかける!カメラはASI2600MCpro、これでNGC6992全体が写野に収まるはず。セッティングしてフォーカス・極軸合わせ・オートガイドキャリブレーションといつもの作業を行い、午後10時いよいよ撮影開始!
[ Taget: NGC6992 ]
Telescope: FF107APO
Camera: ASI2600MCpro(2)
Filter: CBP 2''
Mount: AM5
Guide: SV165+ASI120MMmini+IR/UVcut
Setting: Gain100Temp0Exp<120s x22fits>
TotalExpose: 44min
ImageCapture: ASI AIR plus
Date: 2023/09/05 From Balcony
Software: PI PS Bias-/Dark-/Flat-
いやぁ、本当に美しい。これが自然の造形なのかと目を疑うほど。もしかしたら、より高次の世界の芸術家が、宇宙という名のキャンパスにその絵筆を振るった作品なのかも。何らかの意志の介入なしとは思えないほど、人を引き付ける美しさだ(これを一般家庭のベランダから撮影できてしまう技術革新もすごいが)。
このレースのような星雲は、過去の超新星爆発の名残だとか。一体どんな恒星がその最期の時を迎え、これを観測する人にどんなメッセージを伝えたかったのだろう。いやそもそも、これを観測する”人”という存在がなければ、この美しさになんの意味も与えられなかっただろう。我々がこの宇宙に存在してこの星雲に魅入られたという、この素晴らしい幸運に感謝したい。
ところで、右の写真を見るとわかるのだが、以前にも発生した星の中心に芯が残ってしまう問題が再発した。拡大すると、かなり不自然な星の像だ。なんでこうなってしまうのか…
一つの理由として考えられるのは、撮影したときに、星の中心がすでに飽和(これ以上明るく映らない限界で記録されている)しているためだろう。最近はArcsinh stretchを頻用しているのだが、この処理は元々明るい部分をできるだけ明るくしすぎないようにして、写真の暗く淡い部分だけをより明瞭にするためのストレッチツールだ。「飽和している星の中心以外」はなるべく飽和しないように処理をしているため、すでに飽和している星の中心と、そうでない辺縁とで、明るさの差ができてしまっているようなのだ。これはなんとかせねばなるまい
単純な解決策として、ストレッチの方法を工夫することを実施してみた。
[ Taget: NGC6992 ]
Telescope: FF107APO
Camera: ASI2600MCpro(2)
Filter: CBP 2''
Mount: AM5
Guide: SV165+ASI120MMmini+IR/UVcut
Setting: Gain100Temp0Exp<120s x22fits>
TotalExpose: 44min
ImageCapture: ASI AIR plus
Date: 2023/09/05 From Balcony
Software: PI PS Bias+/Dark+/Flat+
以前もチャレンジしたのだが、今回もLinearの段階でStarNet2を使用し、星雲と星を分離し、別のストレッチで明るくするという方法で処理を進めた。こうすることで、星像がおかしくなるのを防ぎながら星雲を強く強調することができる。その結果が、上の写真。ちょっとやりすぎた感はあるが、かなり見ごたえのある写真になったのではないか。というか、ここまで綺麗に映るとは思ってもいなかった。いやまじで、FF107APOすごすぎ!
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