帰ってきたSD115S

対物レンズを鏡筒に固定するためのスペーサーを交換するため、Vixenに修理に出していたSD115S。9月20日、無事新しいスペーサーとなって帰ってきた。

今までは、対物レンズを固定していたスペーサーに3箇所の出っ張りがあり、星の回折光が一部欠けている状態であった(それはそれで形的には綺麗だとは思うが)。本来の星は真ん丸、回折光の欠損は人工的な構造物だ。その回折光欠損を防ぐためのアップグレードが、今回のスペーサー交換。

戻ってきたSD115Sの対物面を見ると、きれいな真円で出っ張りがなくなっていた。これは期待、早く天体撮影したいぞ!

 

とワクワクは高まったが、何しろ曇りの日が続いている。まだ気温も高く湿度も高い。というわけで、布団圧縮袋に封入して、出番を待っていただくこととしていた


そんな生まれ変わったSD115Sの出番がいよいよやってきたのだった

まだ秋は始まったばかり、晴れがなかなかやってこない。貴重な夜晴れを逃す手はないのだ

NGC6820 こぎつね座散光星雲

[ Taget: NGC6820 <こぎつね座散開星雲> ]

Telescope: SD115S+FL+RD(x0.79)

Camera: ASI2600MCpro(1)

Filter: CBP 2''

Mount: SXP2

Guide: SV165+ASI120MMmini+IR/UVcut

Setting: Gain100Temp0Exp<180s x36fits>

TotalExpose:  108min

ImageCapture: ASI AIR plus

Date: 2023/10/05 From Balcony

Software: PI PS Bias+/Dark+/Flat+

 


赤い輝線星雲が広がるこぎつね座の領域を撮影。HII領域の中にある分子雲が不思議な模様を形成し、どこか神秘的な様相を呈している。淡い星雲のため、露光時間を1枚180secに伸ばし、時間の許す限り撮影を試みた。PIで編集して、複雑な星雲の姿が詳細に浮かび上がると、SD115Sの実力を改めて実感することができた。恒星も美しく輝いていて、真ん丸に写っていて、回折光の欠損が見られない。これが本来の星の形

スペーサー交換に所沢まで車を飛ばしてかなり疲れたが、思い切って修理をお願いしてよかったよ

NGC7023 アイリス星雲

[ Taget: NGC7023 <アイリス星雲> ]

Telescope: SD115S+FL+RD(x0.79)

Camera: ASI2600MCpro(1)

Filter: CBP 2''

Mount: SXP2

Guide: SV165+ASI120MMmini+IR/UVcut

Setting: Gain100Temp0Exp<180s x42fits>

TotalExpose:  126min

ImageCapture: ASI AIR plus

Date: 2023/10/05 From Balcony

Software: PI PS Bias+/Dark+/Flat+

 


9月17日に新鏡筒FF107APOで撮影したアイリス星雲に、再びチャレンジ。今回はフィルターをCBPで撮影している。FF107よりわずかに口径が大きいが、その僅かな違いでも集光力には差があるように感じる。フィルターが違うから単純に比較はできないが、総露光はFF107のほうが長いにも関わらず、周囲の分子雲はSD115Sのほうがより詳細に写っている。大口径は正義!とはまさにこのことか…。まぁ、当日の空の様子なんかで変わるだろうから、全く同じ条件で比較しないとなんとも言えないが。

とにもかくにも、宇宙のアヤメはとても美しい。なんだか、この星雲には生命の躍動と同じものを感じる。不思議だな。

総評

そんなわけで、SD115S復帰撮影は無事終了。スペーサー交換に関して、”実行は正解!”はもはや揺るぎない結論となった。はるばる静岡から所沢まで鏡筒を持参をして、修理工場に持ち込んだのだが、その甲斐あったというものだ。まぁ梱包箱を即廃棄してしまったため、宅急便で安全に送るのがやや不安だったので、持ち込みで修理をお願いしたのだが…自業自得。

それにしても、やはりSD115Sは良い鏡筒だ!天文素人の私の評価だから何とも微妙なところだが、繊細で美しい天体の姿をしっかりと描き出し、この手に入れさせてくれる。SNSでみてみると、この鏡筒で撮影した天体写真を上げてる人はあまり多くないようだ。費用的なところはなかなかハードルが高めだが、ぜひとも多くの人に手にしてもらいたいなぁと切に願う。