天文を始めた当初、冷却CMOSカメラ購入に向けて色々調べていたら、カラーCMOS天文カメラに比べモノクロCMOS天文カメラの方が金額が高いことがわかった。なぜだ??
まだ冷却CMOSカメラのことがよくわかっていなかったこの頃、単純にカラーのほうが高性能で金額も高いと思い込んでいたのだが…なぜかモノクロのほうが高い。どうしてなのかは後々判明したんだけど、わざわざ高い費用を捻出して、撮影により労力を要する(RBGそれぞれのチャンネルを別に撮影するなど)機器を買うのは、はっきり言って色々無駄なのでは…そんな先入観に囚われていた
ところが、実際にSNS等に投稿された天体写真を見ると、カラーとモノクロ(あるいはRGB合成)ではその精密さが段違いだ。モノクロで撮影したもの、もしくはモノクロ撮影をRGB合成したものを見ると、カラーCMOSで撮影してても得られない細かな構造の描出が可能となるようである。確かに同じセンサーサイズのカメラでモノクロをカラーと比較すると、(私の理解の範疇では)単純に三倍の解像度になるわけだからそりゃそうだよな。
なるほど、モノクロはより玄人向けなのかぁ
まぁ自分には関係ない話だな…
なんて数か月前までは思ってました(^▽^;)
LRGB合成やSAO合成の美しさをSNSでさんざん見せつけられたら、そりゃモノクロカメラ試してみたくなるのが漢ってもんでしょ。SNSやばいよ、物欲センサーにガツガツ訴えかけてくる(・_・;)
そして購入したASI2600MMpro(冷却CMOS)。これでCMOSカメラ5台目…やりすぎかな
大きさはカラーの2600MCproとかわりなし。294MMにしようかと思ったが、やっぱりセンサーサイズは大きいに越したことはない(という信念)
フォーサーズは、欲しくなったらまた買おう
最大の問題は…
空が晴れないこと。2024年3月から5月にかけて、夜スッキリ晴れたのはわずかに数日。しかも満月期を除くと、ほぼ0日。春はこんなに雲が多かったっけ??
残念ながら、しばらくファーストライトは望めなかった…
6月12日夜に見事な晴天。やや霞がある気もするけど、MNGを試すには絶好の機会だ。とりあえずモノクロCMOSのファーストライト!
対象はM51
ついでに、一緒に購入した7nmナローバンドフィルターのSⅡとOⅢ(Hαは所有)で、それぞれの周波数領域を20枚ずつ撮影してみることにした。
おぉ、なんかプロっぽい
上から
Hα / OⅢ / SⅡ領域のモノクロ撮影
ピントは今ひとつ合っていないけど、とにかく試し撮りとフィルター交換の実践。
フィルター交換は、ZWOのフィルタードロワーを使用して、フィルターを取り付けたフィルターホルダーを出し入れ交換するという手動システム(笑)。EFWという機材を使用すれば簡単にフィルター交換ができるが、いちいちカメラに取り付けが大変だし、また新たな機材を購入するのもなぁ…というものぐさから、しばらくは手動切替で行くことにした
左がフィルタードロワー、右がホルダー
ドロワーからホルダーを外して、装着していたフィルターをケースにしまい、別のフィルターを付けたホルダーを、ドロワーに戻す
という動作を三回繰り返した。バルコニーと書斎を行ったり来たりで、けっこうせわしない。それと、ドロワーから取り出したフィルターをどう保管するか…これについては、ちょっと頭を悩ませた。
何しろ、ホルダーにむき出しでつけたままのフィルターをそのまま部屋に放置すれば、ホコリが付いてしまう。なので、ホルダーからフィルターを外して、一度ケースにしまうことにした。後ほどFlatを撮影するときに再度ホルダーにつけて、撮影すればいいだろう…
そんなふうに安易に考えて撮影を続けていた
さて、この手動交換。問題点が2つ発覚した
1)フィルターホルダーからフィルターを外してケースに保管すると、撮影終了時にFlat撮影する際、再度ホルダーに取り付けて撮影するので、微妙にフラットが合わなくなる(可能性が高い)
2)ケースにしまう際に、本撮影になかったホコリが付く可能性があり、これによりフラットが合わない部分が出てくる可能性がある
まぁ、よく考えれば当たり前の話だが、新たな機材を使った撮影への興奮で落ち着いて行動ができなかったのだと思う。
大きな問題は、フラット撮影でホルダーに再度取り付けた際に、本撮影と全く同じ角度でフィルターを取り付けられるかどうかだ。もちろん多少のズレくらいでは周辺減光の補正には問題にはならないだろうが、フィルター表面についている汚れ・ホコリがわずかに本撮影と違う位置に移動してしまうことで、フラット補正時に局所の過補正や補正不足が起こる可能性がある。
本撮影時と完璧に同じ向きにフィルターを再装着するのはほぼ不可能だ。そもそも、それを解決するためにEFWという自動フィルター交換器が存在するわけで、手動交換にはフィルター位置の再現性精度に限度がある。
と言っても、EFWが出てくる前までは皆手動で変えていたわけで、できないことはない。工夫次第ということ。どう工夫するか
1)については、ホルダーを複数用意し、フィルター交換時にホルダーから外さずにフラット撮影に使用するまでそのまま保管することで解決できる。まぁ、その方がホルダーから外す際フィルターに傷がつくリスクを大いに減らすことができる。手間が減ればミスも減る。幸いホルダーは複数購入してあったので、これについてはすぐに解決できそうだ
問題は2)だ。ホルダーにフィルターを取り付けたままどこに保管するのか。何らかの箱の中に保管すればいいのだろうが、それでも新たなホコリが付く可能性はゼロにはできない。ドロワーから外した瞬間に何らかの容器にササッと密封すれば、完璧とは言わないまでも、ホコリ付着をゼロに近づけることは可能だろう。だが、それを実現しようとすれば素早いホルダー交換作業が必要になる。暗闇の中(ヘッドライトで手元を照らしたりしても)慌てて交換すれば、落としたりどこかにぶつけたり、フィルター面を指で触ってしまったり…とフィルターを損傷汚染する可能性が増えるてしまう。これはどうしたらいいか、まだ最善な解決策を見いだせていない。
いや最善の改善策はEFWだろう…今後の課題だ
とりあえず、S/A/Oによるナローバンド撮影は完了した。フラットも撮影した(ホコリ問題は抜きにして)。後は…、SAO合成をやるばかり
だったが、試しにやってみたところ、自分の予想した良い結果が得られなかった。まぁ仕方ない。そもそも輝線星雲じゃなくて銀河を撮影対象に選択したわけだし、しかも視野径が小さい天体だし、このような対象では思うようなカラー合成ができるわけがない(と思う)。今回は、まずモノクロCMOSの扱いを経験すること、ナローバンド撮影のやり方を一度は経験すること。
今後、星雲の撮影し放題な時期になったら、ナローバンド合成に再チャレンジしてみたいと思う。
そういえば、そろそろM16とかM8がバルコニーから見えるシーズンだな。梅雨明けに大きなチャンス到来か!
あと、センサーサイズの一回り小さいMMProも購入しちゃおうかな
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