初めての天体撮影は、ミラーレス一眼とスマホによるコリメート撮影で終了した。しかし、天体望遠鏡を手に入れた本来の目的は、コリメート撮影ではない。
直焦点撮影
これをやりたくて、天体望遠鏡を購入したのだ。長時間露光による美しい銀河や星雲の撮影をしてみたい、そんな願望を実現すべく、ミラーレス一眼のEOS RPと直焦点接続可能なシステムを購入した。10月19日、初めての直焦点撮影に挑むこととした。
場所は、前回と同じ書斎横のバルコニー。機材は、SD115SにEOS RPを接続しフィルター等は使用せずに撮影することとした。まぁ、フィルターなんてものの存在は、この直焦点撮影を行った後で検討したものなのだが…
ちなみに、観測の様子を撮影した写真は残っていない。こういうのは、いちいち記録を残したほうがいいんだろうけど、ワクワクが先に立って勇み足になりがちなのがいけない。
最初の撮影は、もちろん秋の定番アンドロメダ銀河。何しろ大きいし明るいし(肉眼でも見える)、撮影するならこの天体だ!
SXP2を設置して、SD115Sをマウントに搭載した後、ファインダーを装着。まずはファインダー調整を実施した。ファインダーの向きが本鏡筒の向きと合っていないと、素早く天体を探すことができないし、この後必要となるアライメントが不可能となる。ファインダーと鏡筒の軸を合わせる操作を行った後、STARBOOK TEN(赤道儀SXP2の操作パネル)を起動。いよいよ目的のアンドロメダ導入するときだ。
まずは極軸合わせ
赤道儀の軸が天の北極を向いていないと、正しく天体の動きを追うことができない。この極軸合わせがなかなか難しい。ポータブル赤道儀で経験は合ったが、あちらは焦点距離が15mm程度の超短焦点のため、厳密に合わせる必要がなかった。しかし今回は、焦点距離790mmという長焦点鏡筒のため、かなり正確に極軸を合わせないと、星がどんどんずれてしまう。長時間露光すれば当然星が流れて写ることになる。なれない極軸望遠鏡を必死に覗きながらなんとか極軸を合わせることができた
お次はアライメント
赤道儀の軸は合ってても、鏡筒の赤緯赤経がちゃんとあってなければ、SXP2操作パネルで正しく天体を導入できない。何しろ、STARBOOK TENには指定した天体に自動的に鏡筒を向けてくれる機能(自動導入)がついている。これをちゃんと機能させるためには、鏡筒の向きが正しいことが前提だ。
アライメントのやり方は、まず明るい恒星を選んでファインダーに追い込んだ後、接眼レンズをつけた鏡筒を除いて星を視野の中心に持ってくる。次に、視野中央に入れた星をSTARBOOK TENで選んでアライメントボタンを押す。これをいくつかの恒星で繰り返すことで、鏡筒が正しい方向を向いてくれることになる。自動導入を実現するためには大変重要な設定だ。抜かりなく行う。
そして、接眼レンズをEOS RPに付け替え、カメラのバックモニターで写っている星を見ながら改めて焦点を合わせ、いよいよアンドロメダを自動導入。本当にアンドロメダの方向を向いているのか、全くよくわからないがとりあえず撮影を開始してみた。
SD115S / EOS RP ISO2000 SS112sec 直焦点撮影
これが、初めての直焦点で撮影したアンドロメダ大銀河。自動導入は見事に成功した!これは素晴らしい機能だ
画面上にごみがあるし、フィルターつけてないので光害の影響も強いけど、それでも渦巻く腕や暗黒帯が(見ようによっては)見えることに大いに感動。撮影後の画像処理を一切していない撮って出しの一枚なので、今見ればしょぼい絵面。だけど、初めて自分の手で銀河の形を捉えることができた事実を体験し、まさに天にも登る喜びを感じた。
それにしても、ノータッチガイドで112sec露光としては星の流れがほとんど見られないのはすごいと思う。さすがにVIXENの高級赤道儀SXP2、その安定感はこの写真を見返してみても実感できる。
SD115S / EOS RP ISO1600 SS120sec 直焦点撮影
お次は、M1かに星雲。超新星爆発を起こした恒星の残骸だ。写真で見ると、その迫力ある姿に心を奪われる。どんなふうに写るんだろう…
え?右上の淡いゴミみたいなのがM1?こんなに小さかったのね。アンドロメダの大きさと比較してしまうから、米粒のように見えてしまうが、恒星の残骸なんだから、地球から一番近い銀河の大きさと比べるべきじゃないな
SD115S / EOS RP ISO1600 SS90sec 直焦点撮影
最後にプレアデス星団。こちらも有名な、若い星の集まりの天体。日本名昴、その姿を捉えたものだ。ん~、若い星の周りの淡いガスが全く映らないが…これは仕方ないのか。それでも、昴の向こうにもこれだけたくさんの星があるんだなぁ、と感動
これに関しては、撮って出しだとこの程度しか映らないけど、画像処理をすればちゃんと淡いガスが浮き出てくる。これを撮影した頃は、天体写真の処理なんて全く知識なかったから、まぁ仕方ない。しかも、無改造EOS RPだし。
肉眼ではぼやっとしか見えない、もしくは全く見えない天体を撮影できる直焦点撮影の楽しさを経験した。とともに、その難しさも実感できた。もっと美しく撮影するには、圧倒的に技術と経験、それに機材が足りない。自分の思い描く天体写真を実現するには、天体用カメラの入手と画像処理ソフトおよびそれを扱う知識と技術は必須事項だ。
この日を期に、より美しい天体の姿を捉えるべく、私の新たな挑戦が始まった。覚えるべきことは山のようにあるし、必要な機材のことも調べなければならない。やるべきことは限りなく多いが、趣味に避ける時間も限られる。
この有限の時間を如何に大事に有意義に使って、我が夢を実現していくか。これまで長年トレランで培った様々な勉強・経験が役に立ってくれるかなぁ、などと思いながら、大満足のこの日の観測を終えた。
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