今年初、M31撮影

年明けはいつも忙しい。何しろ、年末年始の休み明けで体調を崩している人が多い中で、更に年始開けすぐにやってくる成人の日を絡めた連休。来院患者数も多い中で、いかにして気分転換をしっかり図るか…日々の診療を乗り越えるうえでも、没頭できる趣味の存在は大きい。

診療終了後の夜は、走ったり天体観測したりと趣味に没頭できる大事な時間。月明かりのうるさくない晴れた夜は、絶好の気分転換日和だ

 

この日の目標は、みんな大好き(またか)M31

これまで180sec露光で撮影してきたが、今回始めて300sec露光でのできるだけ長時間の撮影に挑むことにした。1枚300secということは、それだけ一枚の撮影中に星像がブレるリスクが高くなる。しっかりとした極軸合わせ、鏡筒・赤道儀の固定、そしてガイドシステムの微調整、これらをしっかり行うことが最善の結果を得るための鍵となる。

準備に費やす労力に妥協はしない

使用鏡筒

FF107APO(+RD)/AM5/ASI2600MCPro/CBP

運用に集中するため、一台のみの稼働とした


M31 アンドロメダ銀河

[ Taget: M31 <アンドロメダ銀河> ]

Telescope: FF107APO+RD(x0.69)

Camera: ASI2600MCpro

Filter: CBP 2''

Mount: AM5

Guide: SV165+ASI120MMmini+IR/UVcut

Setting: Gain100Temp-10Exp<300s x53fits>

TotalExpose: 265min

ImageCapture: ASI AIR plus

Date: 2024/01/11 From Balcony

Software: Bias+/Dark+/Flat+

 

[Edit History]

240108 PI(Drz):DBE/SPCC/SCNR/BXT/NXT/Stretch(HT_Arc_Arc_Mask_Mask_CT_Arc)

 


休診の木曜日。夕暮れ後からそそくさと準備を終え、19時過ぎに撮影を開始。1枚露光300秒、最終的に53枚で総露光265分、4時間。ほぼ日付が変わる頃まで撮影を続けた。本当はこのまま継続したかったんだけど、翌日金曜日の多忙外来をこなすには早く寝ておいたほうがいい。撮影放置も考えたけど、途中で起きて片付けも大変だし、なんとなく清々休めないので、基本的に就寝前に撤収することにしている。

処理後の写真には大いに満足している。FF107APOは、なかなかに良い鏡筒だ。辺縁まで星像が美しいし、渦巻く腕に見え隠れする暗黒帯も精細に描出できた。AM5とガイド鏡のパワーも大きい。これだけの写真を自分の手で撮影できることことに、本当に感謝するばかりだ。

 

ところで、SNSの投稿を見ていると赤ポチが美しく描出された写真をよく見かける。自分の撮影した写真を見ると、赤ポチがあまり写っていない。これがワンショットカラーの限界なのかな。赤ポチを美しく撮影するには、やはりHα画像などのナローバンド合成が必要になるのかな。今年は、ナローバンド合成に挑んでみようか…

とこのとき将来への伏線を思い描いていた

総評

今回は、1枚300秒露光の撮影を試みてみた。結果、素晴らしい成果を得ることができた。短時間多枚数でも編集次第でどうとでもなるとは言うが、やっぱり一枚を長時間撮影することで、より多くの微弱な光子をセンサーに捉えることができ、結果として得られる画像の質も上がるような気がする。

ただし、鏡筒のブレを如何に抑えるか…これが肝となる。いかなオートガイドの性能が高くても、三脚足回りや風・建物の振動の影響はカバーしきれいない。天候条件を見極め、設置した機材の安定性に対する工夫をすることが、300秒以上露光を成功させるための必須条件となる。ここは経験を積むしかないわけだが、それでも乗り越えられない壁もある。それを超えるためには…

 

僻地に観測所を建てるしかないなぁ(笑)